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春雨に濡れて行こう。 4月7日の日記
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そのFAXが着いたのは、一ヶ月くらい前だったかもしれない。
”4月7日に あの公園に集まろうよ。
開始は午前の11時くらい。
自由集合・自由解散、出欠は取りません
雨天は中止です”
差出人は 下の子の幼稚園時代の同級生の親たち。
このこたちは、4月から3年生になる。
小学校は それぞれがそれぞれにばらばらなので、子供同士が集うことは滅多にない。
”あの公園”は 幼稚園のすぐ近く。毎年 桜が咲き誇る。
会いたいな、とは思った。
こどもたちともそうだけど、その母たちに、また会いたいなとは思った。
けれど、もうワタシはバイトを始めてるし、ワタシたちはともかく、子供同士はどうかなだったし。
幼稚園のころ、親とも子とも仲が良かったのは寧ろワタシのほうで、コドモ自身は いつもぽつんとしてたような気がする。
いじめられても弾かれてもいないのに 自分からハグレたり、遅れたり。
みるたびに、いつもひとりでじっとしてるのが、うちのこだった。
供に 走ったり、ボールを追いかけたりを 決してしない。
楽しげにわぁわぁ 話してたりもしていない。
みんなと一緒に行かないのか、行けないのかは よくわからない。
「ともだちは?」と聞くと、「いないよ。」と答える。
その様子は小学校に通う今も変わってない。
だから、どうしようかな、と思った。長くそのFAXのことを 子供に伝えなかった。
どうせワタシにはバイトが入るだろうから、それでいけないってことになって、それがいいのかもしれないとも思った。
4月のバイトのシフト表を見ると、7日が休みになっていた。
4月の6日は それはそれはうらうらと良い天気で、コドモと一緒に買い物に出かけたワタシは、
やっぱり 話してはおこうかと、近所のスーパーの中、品物を選びながら 明日の誘いのことを打ち明けた。
「どうする?」と聞く私に、あっさり「いくよ」と答えた。
「ぼく、このお弁当持ってく」
ちょうど目の前の棚にあった、”やわらかハンバーグ弁当”なるものを見てる。
じゃあ、明日公園に行く前に ここによって買っていくか、ということになった。
このスーパーは公園までの通り道にあるから。
そんなもの買わなくても、おにぎりくらい作れるのになぁ、
それに、みんなが集まれば、まとめて買出しに行ったり、
どこかの店で昼食を とかになったりもしそうなのになぁ、とは思ったけども。
今日があんまり良い天気だから、明日は雨かもしれない。
そうも思った。
「あかあさん、早く起きてよ。集合は11時なんだよ」
朝ワタシを起こしに来た。まだ9時にもなってない。公園までは20分くらい。
「家をでるのは10時半くらいでもいいかな。・・・ちょっとくらい遅れてもいいんだよね?」
と聞きながら 靴下を履いてる。
うん、遅れたりしてもいい集まりだからね と答える。
空をみてちょっとほっとした。雨は降っていない。
「・・・今日、雨降るかもしれんで?」
コドモの様子を見てたダンナが そっとワタシにささやく。
うん、わかってる。
10時半を過ぎるころ、じゃあ行こうかと扉を開けたら、雨が降り出した。
細い細い春の雨だ。
コドモはみるみる不機嫌になる。
いくだけいってみるかい?とたずねてみたら、
「うん、行って見る。」と答えた。
「誰も来ないかな。」
そうだね、雨天中止って書いてあったし。
お弁当、買ってる間に雨やんでるかもしれないよと、スーパーに寄る。
お目当ての”やわらかハンバーグ弁当”とお茶を手に店を出たら、雨は強くなっていた。
「雨、強くなってるね」
そうだね。強くなっちゃったね。
傘を差してふたりで歩く。
道の脇に、ぽつりぽつりと並ぶ花咲く桜に春の雨が注いでる。
けれど、公園につくころ 雨がやみだした。
空が明るくなってきてる。
「お弁当食べれるね」
そうだね、ベンチは濡れちゃっただろうけどね。
「地べたに座ればいいよ。シート持ってきたんだし」
歩きながら傘をたたむ。春の雨はまだぽつんぽつんと髪に届く。
あ、誰かいた。
来たね。キタヨォ。後、誰々がくるよ。
久しぶりー、 ほんと久しぶり。
昨日はいい天気だったのにねぇ。
ワタシたちは嬉しくて話し続ける。
コドモたちは 楽しげに遊んでる。
話しながらもこどもの様子をうかがうと、やっぱり うちのこは いつもどおりだった。
群れの近くにいるけども、群れとともに動いてるかんじが全然ない。
並んでブランコには乗ってる。ジャングルジムにも 登ってるようだ。
けどあのこの声は聞こえてこないし、走りっこには参加してない。
ワタシの目の前に桜の花びらではなく、花が降り注がれ出した。
5弁の花弁が揃ったまんまの花々たちが くるくる回りながら 静かに濡れた地に着いてゆく。
見上げると、桜の枝に、見知らぬ鳥が止まってる。
ナニをしてるのかはよくわからない。
雨がまた落ちてきた。ぽつりぽつりと落ちてきた。
こどもたちはサッカーをはじめてる。うちのこは?走ってないな。
堂々と見学してる。
雨が強くなる前にお昼を済ませようと、雨が少し避けられそうな樹の下に持ち寄ったシートが敷かれていく。
うちのコが真っ先に戻ってきた。
それぞれ次々戻ってきて、それぞれの”お昼”を食べ始める。
桜の花の傘の下、大小彩りさまざまのビニルシートに ちょこんと並んで。
春の雨はまた降ってる。
「さぁ 帰ろうか」とうちのこがいう。
ほかの子はまたボールを追いかけだした。 髪が濡れていくのは、汗なのか雨なのかもうわからない。
雨脚よりも、肌寒さが強いので、親の意見も引き上げることに一致はした。
ほかのこはまだ遊んでる。とうとう親に怒られだした。
うちのこは 傘を手に そんな風景を見てる。
こんどが いつかは わからない、「またね」を口にしながら手を振った。
見るとうちのこにも ほかの子たちは手を振っていた。
うちのこはというと 「おぅ」とちょっとうなづいてるだけ。
そうだな。
人気者でない、は 嫌われてる ではないんだったっけ。わかりきってることだったはずなのにな。
アタマも運動も出来が良くないからなぁ、せめてみんなと同じならな、とか
みんなに弾かれたりからかわれたりするんじゃないか、とか思うけど、
大きなお世話ってやつなのかもな。
「今日はいっぱい走った」
帰り道々、コドモが言う。
えぇぇ、あれで そうだったのか。
「うん、ぼく いっぱい走ったよ」
堂々とそう答える。とても満足げに。
春の雨の雨脚が少し強くなったような気はする。やがて街を煙らせるだろう。
桜の季節を見送るために。
けど、今はもう少し、このまま春雨に濡れて行こう。
また ぽつりと やむかもしれないし。
傘はいつでもさせるから。
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子どもを叱ってみたところ… 2007/04/08 06:08:42
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