確信犯

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ちりれんげ

 世の中に、「ちりれんげ」という食器がある。
 漢字では、「散蓮華」という字を当てる。

 どうやら、鍋物を取り分ける際などに使う食器らしい。

    ◆

 ある友人の話。

 ある日ある時、家族で鍋物を囲んでいた。
 ある具材が菜箸では取り分け難かったか、
母上様が「ちりれんげ」を指差し、こう言った。

「○○さん、その『ちろりんげ』も使ってね」

 ヾ(*´∀`)ノ

「ちりれんげ」→「ちろりんげ」

 。゚(゚ノ∀`゚)゚。

    ◆

 おかしら、この言いまつがい笑い話を聞いた翌日、会社で完全に「急にニヤニヤする人」と化した。たとえば接客と接客の合間に、ふと気が緩む隙が生じたりすると、もう頭の中を「ちろりんげ」の文字列/音声群がグルグル際限なく回り始めるのだ。
「おはようございまーす(ちろりんげ)」
「ありがとうございましたー(ちろりんげ)」
 嗚呼、ちろりんげちろりんげちろりんげ……。
 さすがに接客中に吹き出すわけにはいかない。我慢しなければならない。と思えば思うほど回る回るよ、ちろりんげ。巡る巡るよ、ちろりんげ。

 あまりにも遠慮なくニヤニヤしていたからだろうか? 昼休憩に同僚が、やたらとニコニコしながら話しかけてきた。

「ねえねえ○○リン、今日は朝からゴキゲンじゃない? 何かイイコトでもあった?」

 おかしら、ここで悪魔の微笑を浮かべた。だって、ニヤニヤの仲間を増やす絶好の機会なんだもの。

「実は、『ちりれんげ』という食器があって――」

 と友人の話を一部始終、真顔で語って聞かせたら、


 ( ゜з゜):;*. :;


 同僚、文字どおり噴飯する之巻。

「ば(か)っ! それは反則だよ!」

 ゲホゲホ噎せながらも怒り狂う同僚……。

 以来、おかしらの職場でのアダ名は、○○リンから○○リンゲになった。
 この話は、隣の部署に口伝で語り継がれ、いつの間にやら、おかしらが言いまつがったみたいな話になって、まことしやかに噂されていた。

    ◆

 あれから、はや数ヵ月。
 さすがに忘れ去った頃。

 先日、歓送迎会の席で、鍋物が出てきた。
 当然、食器には「ちりれんげ」と小鉢が、人数分出てきた。

「それでは皆様に『ちりれんげ』と小鉢をお回ししまーす」

 おかしらが声も高らかに宣言した次の瞬間!


 左隣   ( ゜з゜):;*. :;

おかしら ?(゜Д゜;≡゜Д゜;)?

 右隣   (*≧艸≦)≡3


 両隣いきなり撃沈。揃って噴飯する之巻。
 そして同時に、両隣から肩やら膝やらビシバシぶっ叩かれ、

「アンタ今の確信犯だね!」
「完全に油断してたよっ!」

 罵られて、諸般の事情を御存知ない他の方にカンペキ怪しまれる始末だ。

「箸が転がっても笑う年頃って言いますからねぇ」

 ボクが必死でフォローをすると、

「うるさい黙れ、○○リンゲ!」

 両側から、怒鳴られた。

    ◆

 これが世に言う「チロリンゲ伝説」の全貌である。
 なんだか我が社じゃ公用語になってしまったフシがある「チロリンゲ」と「○○リンゲ」。
 現在では、カラオケの曲と曲の合間の静寂にマイクで一言、「チロリンゲ」と呟くだけで、軽く4人を薙ぎ倒すことができるようになりました。
 おかしら、たしかに言葉の魔法の勉強はしているけれども、ここまで破壊力のある言葉は他に……「アンジュール」ぐらいしか知りません。


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この記事は笑える話【オリジナル作品】に投稿されたちゅろ@おかしらさんのブログ記事です。
http://blog.livedoor.jp/oresamagician/archives/51372218.html

執筆者ちゅろ@おかしらさん

投稿日時2008/05/03 00:04:21


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