いずこを巡る、広末涼子
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いずこを巡る、広末涼子
「癒し」という言葉があまり使われなくなってしばらく、という印象がある。これはかつて流行語だったものが廃れた、というよりは定着したというのが妥当かもしれない。この言葉が流行した当時、立川談志は「癒しは卑しい」と発言していたが、まさに名言である。
癒されたい、ということは、それだけ世間の矢面に立って心身ともに気苦労が絶えない、従って自分はそれに見合った対価として心を許せる何かが欲しい、そして、それを言える私ってなんてステキ、と喧伝しているのと同義であり、生きていく上で誰しも直面する当たり前なことを声高に言える無神経さを自ら表明しているのである。
最近は物やサービスで癒しを提供する業種・品種が多くなった。栄養剤はサプリメントになり、銭湯やサウナはスパになり、健康に意識が高い生き方はロハスになる。それらはそれまでの言葉では感じられない「癒し」の意味合いを多分に含んだものだ。それは、元々80年代にアメリカや西欧で流行った禅の思想を具現化したものが、現在の日本に逆輸入されたように私は思うのだが。
コカ・コーラの「からだ巡茶」も、同社の「爽健美茶」で使用する素材を変えた亜種、というより癒しという付加価値を前面に押し出した商品である。付加価値といっても、あくまで気分でしかないのだが、それを体現している(と思っている)のが「からだ巡茶」のCMに出ている広末涼子なのだ。
広末涼子といえば、かつてポケベルのCMやドラマ「ロングバケーション」などでトップアイドルに上り詰めたタレントだ。天井知らずの高値安定が続くと思われたが、早稲田登校の一件から一転、プッツンだの奇行だの、それまでの反動が一気に噴出したことでその座を追われた。以後、結婚・出産を経て現在に至る。かつてのカリスマ的人気は無いものの、ドラマやCMにも顔を出している状態だ。
で、去年から「からだ巡茶」のCMに出演しているのだが、その時のキャッチフレーズが「広末浄化計画」なのだ。つまり、当時は資生堂の「TSUBAKI」のCMにも出演していたのにも関わらず、かつての奇行などで付いた「負」のイメージは完全には浄化されていない、という点で世間とシンクロしていたということになる。あれだけ真っ向勝負で世間の同意を得た「TSUBAKI」にもかかわらず、である。
そして、「からだ巡茶」は今年7月に新CMのオンエアを開始した。「さよならハロー・シャワー」篇だ。
http://www.jyoka-keikaku.jp/cm/index.html
前作の「さよならハロー」篇との変わり様に注目していただきたい。それまではかつてアレだった自分からの脱却を図る、穏やかな作風だったが、今作は一変、やはりアレな感じである。「からだ巡茶」で身も心も癒されたので、何やってもオッケー、という、随分と独りよがりなメッセージを読み取るのだが。癒しというよりトリップ、光明というよりクラッシュである。
CMによってオモチャにされている広末、いや、それを癒されている表現だと肯定している広末とコカ・コーラ、またそれを「是」とする人々は、癒されなければ生きていけないという強迫観念に駆られた状態だと私は思うのだが。
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・この記事は芸能コラム【コラム】に投稿された徐元直さんのブログ記事です。
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2007/07/17 03:52:18









