Cocktail - 第24回 新生リキュール(La Liquore Nuva)(後編)
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Cocktail - 第24回 新生リキュール(La Liquore Nuva)(後編)
それまで好きだったものが、突如として嫌いになってしまうことがあります。
逆に、それまで毛嫌いしていたものが、愛おしくなることもあります。
− ☆ − ★ − ☆ − ★ −
前編の「Negroni 【ネグローニ】」には、実はこのヴェルモットを使いました。
CARPANO ANTICA FORMULA
【カルパノ アンティカ・フォーミュラ】
製造元はCARPANO 【カルパノ】 社。
度数は16.5度。
日本では「幻のヴェルモット」と呼ばれている代物です。
「ANTICA FORMULA 【アンティカ・フォーミュラ】」の「antica」とは、英語では「ancient」で、「古来の」という意味。「formula」は伊英同義で、「一定の形式」、「公式」、「規格」という意味です。「昔ながらの形式」とでも訳しましょうか。
この「ANTICA FORMULA」は、カルパノ社独自のものではなく、他のイタリアン・ヴェルモットでも使用されますが、その条件は、
「熟成させていること」
つまり、製造されてそのまま販売するのではなく、タンクの中で1〜2年ほど寝かせておくのです。その後、瓶詰めされて販売に至るのです。
そのため、味わいは非常に深いです。
ちなみに、ヴェルモットはリキュールではありません。ワインです。香り付けをしていることから、「アロマタイズド・ワイン」とか「フレーヴァード・ワイン」と呼ばれるものです(ちなみに普通の、薬草などで香り付けなどを行っていないワインは「スティル・ワイン」)。
ワインもある程度熟成させると香りや味わいが深くなります。そこに様々な薬草や香草の香り、味、コクが絡み合って、他のスウィート・ヴェルモットにはない重厚さを作り出しています。
甘みはあっても、甘ったるくなく、苦味はあっても苦すぎず、幾重にも折り重なる層を感じさせる、パワフルなヴェルモットという感じです。
以前にも幾度か書いたのですが、私はカンパリの持つ苦味との相性があまりよろしくないようです。カンパリ・ソーダにしても、カンパリ・オレンジにしても、ちょっと抵抗あり。
かろうじて、「オールド・パル」。
ところが今回、このカルパノ・アンティカ・フォーミュラ。これを使ったネグローニは・・・
・・・深くて、旨い!
複雑に絡み合う、という言葉がピッタリです。ジンであり、カンパリでもあり、ヴェルモットでもありながら、ジンでなく、カンパリでもなく、ヴェルモットでもない飲み物が出来上がってしまいました。
カンパリ特有の苦味も、ヴェルモットの持つ薬草系の苦味にうまく混じってしまいます。考えてみれば、ジンもいくつかの薬草・香草を浸して蒸留して作られる酒なので、出来上がったネグローニ、一体どれだけの種類の薬草・香草が混ざり合っているのでしょうか。想像するだけで恐ろしいです、いい意味で。
このネグローニなら、何度でも飲みたくなる。
− ☆ − ★ − ☆ − ★ −
カルパノ社は1786年にトリノで創業されたようです。
表のラベルに、それを意味するような文字が並んでいることで分かります。ちなみに、瓶はこの中に入っています。
なんと、缶です。カルパノはヴェルモットを作って瓶に詰め、どういうわけか、キャンディの缶に入れて持ち帰らせていたようです。
ちょっと困ったことに、情報の食い違いが出てきてしまいました。
この缶に描かれている人物の下に書いてある名前、そして表ラベルに書かれている名前は、
GIUSEPPE B. CARPANO
「ジュゼッペ・B・カルパノ」です。
ところが、カルパノがヴェルモット・メーカー兼バーであったというエピソードが書かれている資料では、創業者は「ANTONIO - CARPANO 【アントニオ・カルパノ】」となっているのです。
どっちが正しいのでしょうか、というか、アントニオが正しいと思うのですが、それならジュゼッペとは何なのでしょうか?
よく分かりません。
ちなみに、缶の表部分に書かれているのは、
Fedele riproduzione dell etichetta originale e della bottiglia in vetro soffiato.
意訳すると、
「茶色いガラスのボトルと、オリジナルのラベルを忠実に再現しました」
というような意味になります。ということは、これは復刻版? ますますもって、ジュゼッペとは何者?
残念ながら、今回の調査はここまでです。
余談ですが、裏ラベルの情報を書くことができません。
輸入元業者のラベルが貼られているので、これを何とか剥がしたのですが、きれいに取れなくて文字が読み取りづらい状態になってしまいました。
ラベルにはあまり大したことは書かれてはいませんが、それでも「今まで一番の品質」とか「最高の酒」というように、自画自賛ながらも『どうしても言いたいこと』が書かれているものです。他に輸入元ラベルを貼る箇所がないとはいえ・・・ちょっともったいない気がするのは私だけでしょうか。
− ☆ − ★ − ☆ − ★ −
「伯爵のカクテル」こと「ネグローニ」は、実は1月の段階で「いずれ書く」と予告していたものです。しかし、どうしてもカルパノ・アンティカ・フォーミュラを入手したかったので、先延ばしになってしまいました。
それにしても、噂では聞いていたのですが、ここまで存在感が違うのかという驚きでいっぱいです。どこかで、これの置いてあるバーがあれば一度飲んでみる価値ありかも(某松山のバー)にはあるようですね。
今年、たとえどんなに嫌なことや耐え難いことが多かったとしても、最後の最後でこういう出会いがあっただけでも、幸せを感じずにはいられません。
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2007/12/29 21:15:07


