暁のうた プロローグ

  • この記事にタグをつけてください
  



 

私は、待っていた。

さっきから、手足が震えてどうしようもない。

マーヤに叱られそうだけど、両手でぎゅうっと、

ドレスを握り締めていた。



ここは、世界最大の国、ローフェンディア帝国の迎賓館のとある一室。

今日から一週間、

世界中の君主や首脳、お偉いさんたちが集まって、

世界のあらゆる問題を議論・検討する、

「世界会議(クライマート)」が開かれる。


え、どうして、そんなすごそうなところに、私がいるかって?


「陛下」


扉をノックする音と同時くらいに、うちの宰相が部屋に入ってきた。

洗練された物腰で、静かに扉を閉める。


「あ、ああ、遅かったのね、ユートレクト。もうそろそろなの?」


私は、これでも一応、「陛下」と呼ばれる身分なのだ。


「…おまえな」


なのに、臣下に「おまえ」と呼ばれる私…いいの、もう。慣れたから。

いつも思うけど、

扉を閉めて、外づら気にしなくてよくなったら、

途端に口調変える、この妙な切り替えの早さは、なんだろう。


「はい?」

「今日のところは、俺がなんとかする。おまえは一切口を開くな」

「え、何も発言とかしなくていいの?」

「そうだ。自己紹介が終わったら、絶対に口を開くなよ。

自己紹介の台詞も、覚えているだろうな」

「もちろんよ! それだけは、きちんと覚えてきたんだから♪」

「…行くぞ。お呼びがかかった。開会式だ」

「は〜い」


私は、踏みつけそうになるケープを翻して、部屋を後にした。



…どうして、私がこんなところにいるか、って?


それは私が、センチュリア王国の女王だから。



(つづく)

この記事は小説【オリジナル作品】に投稿された藤原凛音さんのブログ記事です。
http://ameblo.jp/moon-of-the-dawn/entry-10071236268.html

執筆者藤原凛音さん

投稿日時2008/03/19 09:23:25


スポンサード リンク

小説【オリジナル作品】に投稿されたその他の記事

暁のうた プロローグの評価

  • 評価合計(評価回数): 0点(0回)
  • トラックバック数   : 0回
  • この記事への評価分布
    ルポユーザーからの評価ルポユーザーからの評価ルポ外からの評価ルポ外からの評価
    • Excellent!
    • Good
    • So So
    • Not Good

この記事をスクラップする

暁のうた プロローグへのトラックバック一覧

ブログルポユーザーがトラックバックすると、この記事の評価に2点が加算されます。
ブログルポユーザー以外の方もトラックバックできます。
トラックバックする場合はコチラ↓

  • RSS 1.0


スポンサード リンク