遠い遠い星、或いは、同じ暴力

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 ゆらめき草が群生する薄い土気色をした透明な草原で、私と弟は草笛を吹きながら夜の空にあいた無数の白い穴と兄弟星を見つめておりました。二つに並んだ兄弟星が私たち人類にとっての約束された場所。死後の終の住処のはずでした。
 大きな銀色の塔へと母の葬列が進んでいきます。銀色の塔のしたには二本足の異星人がいて、母の遺体を遠くの空へと運んでいくのでしょう。

 「ちぃ兄ちゃん、母さんはさ、いったいどこに向かうのかな?」
 「きっと、昔の兄弟星みたいな、住みやすい遠い遠い星だよ」
 「その星ってどんなところかな」
 「すくなくとも、二本足のいないところだよ」

 この星がアルファ・ケンタウリと名づけられ日のことです。
 二本足の神官に銀色の塔に乗せられて、私は楽園を捨てさせられました。
 眼下に広がる荒涼な砂漠を移動して、二本足の神官が得意そうに言ったのです。
 「御覧なさい!兄弟星に楽園などありません!」
 その一言の後、彼らの神についての講釈を聞かされましたが、詳しく覚えておりません。

 「ちぃ兄ちゃん、母さん、あいつらに送られてちゃんと遠い遠い星にいけるかな?
  あいつらの天国には絶対いかないよね?」
 「大丈夫だよ、きっと遠い遠い星まで運んでくれるから」

 実際は、二本足の王の計らいで遠くの空へ遺体を捨ててもらっているのでしたが、大きな複眼からぽたぽた涙を流す弟にそんなことを言う残酷さが私にはありませんでした。
 二本足がはじめた侵略戦争から3周期が過ぎた日のことでした。

この記事は小説【オリジナル作品】に投稿された第二反抗期さんのブログ記事です。
http://maul.blog.shinobi.jp/Entry/10/

執筆者第二反抗期さん

投稿日時2008/03/18 19:14:18


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