天井の流れ星

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 騎乗位で今日、初めて会った女を突いていると、安いホテルの天井に流れ星が張り付いていた。殺風景で古い内装をごまかそうとしたんだろう、電気を消してみてはじめて気づくような蓄光塗料で出来た星が申し訳程度に瞬いていた。
 「どしたの?」とミカとかカナとかそんな名前の女が聞いてきた。ようするに高めのオナホールだ。
 「前に、こういう部屋でしたことがあるんだ」それだけ言うと自分から突くペースをあげる。もう咽の奥まで思い出したくもない話が出てきているのだから。

 遠距離恋愛が嫌になった僕は同じサークルの先輩を酔った勢いで口説きおとし、上手いことホテルへしけこんだ。押し倒した先輩がぽつりと、「流れ星」とつぶやいた。ブラックライトで切り出された星が転々としている真ん中に、五角形の星が糸を引いていた。
 「何をお願いしようかしら、とりあえずこれから仲良くなれること?」
 言われて、遠く離れた場所で見た流れ星とそれを一緒に見ていた、本当に好きだった女の子のことを思い出していた。一緒にいられたら、どんなに良かったことか、耐えられずあきらめた僕のうえで星が哂う。
 「願わなくたってなれますよ」
 それだけいって初めての体にむさぼりつく。一度くっついたら離れないような柔らかさをもつ先輩の胸に顔をうずめて、慣れない手つきで愛撫する。頭にあるのは、本当に好きだった女の子の顔と、アイコラ用の身体だけだ。
 「どうしたの?」気づけば目まで汗だくになっていた。股間は可哀想なほど縮み上がって、もうそんな気分にもなれそうにないほどだった。気づいてしまうともういけない、鼻水のダムまで決壊し、気道が不可思議なリズムで逆流しはじめる。
 「なんでもない」
 言ったところで無駄なんだろうな、と一人冷めた唇が言う。先輩は、何も言わずに僕を抱きしめると、やわらかく頭を撫でてくれた。僕は自分がどうしようもなく駄目な人間になったのだと、胸に大きくさびた釘で傷をつけた。
 
 昔みたいに、少しの思い出で勃起しなくなるようなことはなくなったが、今でも軽く古傷がうずく。僕は適当に射精すると、よこでぐったりする女をおいてタバコを吸った。さっさと帰って眠りたいのだ。
 「ホテル代、どうしようか?」
 「割り勘が後腐れなくて好きよ」
 「じゃあ、割り勘で」
 そういって、少し多めにお金を置くとさっさと服を着始めた。
 「余韻の相手もしてくれないの?」
 「便器とお話する趣味はないんだ、悪いけど」
 「喋るバイブがよく言うわ」
 場馴れした娼婦のようにからっと笑った女に背を向けて、男娼に甘んじている自分とどこかにいた少女のことを考える。何をしているのか、結婚したのか知ったことではないけれど、自分のようにだけはなっていなことを、あの安っぽい流れ星に願った。

この記事は小説【オリジナル作品】に投稿された第二反抗期さんのブログ記事です。
http://maul.blog.shinobi.jp/Entry/5/

執筆者第二反抗期さん

投稿日時2008/03/12 12:25:48


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